2015年7月24日金曜日

<受験23>受験総括



MBA受験に本格的に取り掛かってから合格に至るまで2年、受験を意識し始めてから数えると3年掛かった。その間、延べ16校を受験し、新婚旅行費用を含めると受験費用として380万円もの膨大な資金を投下することとなった。それだけではなく、大好きな飲み会を断り続けたり、趣味の時間を削ったり、睡眠時間を削り過ぎた影響でフラフラになって倒れたりと、非常に大きな犠牲を払った。振り返れば振り返るほど、MBA受験とは生半可な気持ちで臨んで結果を得られるものではないことを感ずる。
「こうすれば受かるMBA2014」という合格体験記を集めているウェブサイトがあり、私もその管理者の一人である。運営している側であるにも関わらず、私の場合、MBA受験を通じて「こうしても受からなかった」エピソードは多々あるのだが、「こうすれば受かる」という秘訣は見つけることが出来なかった。全く合格できなかった1年目と、志望校に数校合格した2年目では
  台湾・中国でのマネジメント経験
  Karenの指導
  微増したTOEFLスコア
等の「変数」があるが、結局どれが決め手になったかわからない。「変数」が評価されたのか2年目に受かった学校もあれば、「変数」を以って出願しても2年連続で落ちた学校もある。MBAランキングが上の学校に受かって、下の学校に落ちたことももちろんある。我々は、受験でも仕事でも「◯をしたから□という結果が出た」という因果関係を求めてしまいがちだが、ことMBA受験については、どれも結果論に過ぎず因果関係はなかなか見出だせない。合格者がなぜ受かったかというと、受かるまで受け続けることができたからとしか言いようがない。

しかし、受かるまで受け続けるというのは、簡単なようで難しい。私費MBA受験の最大の敵は、受験期間中の環境変化だと思っている。MBAを志す人々の多くは20代後半から30代半ばだ。この時期というのは、結婚・出産・昇格・転勤・転職・親の引退等、人生最大級のイベントが多発するとんでもない時期だと思う。このような時期に、肉体・精神・時間・金銭の4面全てに於いて膨大なリソースを投入してMBA受験を継続することは困難を極める。(そして、合格したところでその後2年間は膨大な借金を抱え、異国で無収入で過ごす日々が待っている。)

私費留学を志して共に受験勉強をしていた人々の中には、途中で受験を断念してしまった人は少なくない。だが、多くの場合は彼らの志の問題では無いと感じた。行きたくても環境変化の結果、断念せざるを得なかった人を多く見てきた。大学受験の時のように、一人で勉強に専念すれば良く、しかも周囲のサポートを当然に受けられる状況であれば、これを乗り越えることもできるかも知れない。だが、我々の年齢では、家族や職場のことも考えねばならず、そういう訳にはいかない。子供が生まれ、これから養っていかねばならない…というような状況下で、日々受験勉強に時間と労力を注ぎ込み、何百万という多額の受験費用(受かったらさらに授業料+生活費で2,000万)を投下するようなことを、果たしてどれだけの人ができるだろうか。私も結婚と(退職前提の)受験準備を同時に進めることに対し、両親から当初激しく反対された。

実際、MBAを取得したからと言っても明るい未来が確約される訳では無く、将来を測る明確な指標も無い。ただ、実際にMBA生として学び始めてみた者として、毎日が新しい刺激に溢れ、輝いていることだけは明言できる。東京で毎日暗い気分で出社していた頃とは同じ人生とは思えない。世界中から集った優秀なクラスメート達と日々切磋琢磨することで、自身、凄いスピードで成長している感覚を得ている。



話を戻すと、MBA受験に秘訣は無いと私は思っている。ただ、周囲に対して責任を持つ立場になった状況下にも関わらず、彼らの協力を得て、受かるまで受験を継続することができた ― それが受かった人々に共通するポイントであって、どうすれば受かるのかという問いに対する唯一の解答ではないかとは思っている。

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