東日本大震災で中心部が壊滅した宮城県女川町、現在、街には移住者を含む多くの人が集まって活況を呈し、復興の手本のような存在になっている
女川では、復興にあたって「如何に街に"ムダ"をつくるか」を熟慮したそうだ。
曰く「八百屋や肉屋、魚屋があることは大事だが、それだけでは買い物して帰るだけの普通の商店街だ。よくわからないけどお茶屋の中にアートをやっている若者集団がいるとか、そういうムダな面白いことが起きていてこそ本当の賑わいを作れる」と。これほど街づくりの本質を突いた言葉を、僕は聞いたことがない。
実際、現在の女川町の中心部には
等、普通の都市開発ではあり得ないような店が入居。中心部と言うとオフィスや誰もが使うスーパー等の商店が置かれるのが常識であって、基本的にニッチな商店を設置するようなことは無い。
しかし、女川ではそのような面白い店があることで観光客が増えた他、外部から「女川だったらきっと自分もできる」と起業家や若者が集まってくるという好循環を呼んでいる。
例えば犬専門木工房。犬に対しても人間と同じように安全な材料でできた食器等を使ってもらうことはできないかと考えた石巻市在住の店主が、女川の創業支援事業"創業本気プログラム"への参加を通じて事業化し、店舗を構えるに至った。プログラムでは女川町外での活動・創業も特に制限していないのだが女川での創業を選択したそうだ。
このような" ムダ"というのは不動産デベロッパーの普通の考え方では評価することが難しいが、間違いなく重要な要素である。
新宿西口の整然として効率的な高層ビル群が休日は閑散とする一方、カオスな東口が人で溢れているのは、まさに”ムダ”が人を呼んでいるからではないか。
また、米国Texas州のAustinは今、U.S. News 全米住みたい街ランキングNo.1の人気を誇るが、この街もまた産業云々以前に音楽が盛んである等"ムダ"が多いという特徴がある。同地の芸術祭SXSWには世界中から人が集まっている。
この都市の”ムダ”の効果はなかなか捉えづらいところがあるが、それを恐らく国内で初めて体系的に分析したのが、ザイマックス総合研究所 からくさ不動産塾で私もお世話になったMITの清水千弘先生達による" Sensuous City [官能都市]"だと思う。都市の魅力とは如何なるものなのかを紐解いた上で、国内のどの都市が魅力的なのかをランク付けしている素晴らしいレポート。これを読むと、なぜ武蔵小山や谷根千のようなゴチャッとした"ムダ"多き街が人気なのかが良く分かる。評価指標の中には"ナンパした/された""素敵な異性に見とれた"等、面白いものもある。読み応えのあるこのレポートを無料で読めてしまうので、ぜひ
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