2014年11月16日日曜日

<キャリア>ボストンキャリアフォーラム



11/7〜9にボストンキャリアフォーラムへ行ってきた。

ボストンキャリアフォーラムとは、日本人留学生向けの日本企業/外資企業の日本法人による一大リクルーティングイベントである。とは言っても、それだけではそれが何を意味するのかが良くわからない。私も行くまでは正直に言ってどのようなものかわかっていなかったのだが、参加したことによってある程度内容が掴めたので、ここに書いてみることにしようと思う。

ボストンキャリアフォーラムは主に新卒向けの就職フェアであり、参加する200近い(今回は190)もの企業の説明を聞き、面接を受け、場合によってはインターンの内定あるいは就
職の内定を受けることができるというイベントだ。名前の通り、ボストンで1年に1度、11月に開催され、日本人留学生を中心に日本で就職を志す学生が全米はおろか欧州・アジアからも集まってくる。

ただ、参加企業は190もあるにも関わらず、所謂「MBA採用」をしているのは極一部に過ぎず、今回は25社程度だった。MBA採用とは、MBA取得者を一般の新卒・中途入社の社員とは異なる待遇で採用することである。裁量ならびに給与が大きく優遇されていることが多く、膨大な学費を払いつつキャリアアップを目指すMBA学生達には魅力的である。もちろ
んその他の企業もMBAだからと言って門戸を閉ざしている訳ではないのだが、あくまで採用基準が一般の新卒・中途と同等となっている為、MBAを取得して入社したとしても給与も社内での地位も彼らと同じ地点からスタートするということになる。これでは当然、膨大な資金を投下しつつキャリアアップを目指すMBA生達のニーズに合うはずはない。従って先述のおよそ25社に彼らの応募は集中する。最も、日本人のMBA留学生数は現在一学年約350〜400名程度(Axiom社調べ)であり、ましてトップ校学生に絞ると100〜150名程度でしかなくなり、尚且つ社費・国費留学社を除くとさらに少なくなる為、売り手市場と言って差し支え無いだろう。

さて、ではそのMBA採用をする企業はどこかというと、Bain & Company, Boston Consulting Group, McKinsey & Company等のコンサルティングファーム、Goldman Sachs, JP Morgan, UBS等の投資銀行、 Amazon, Eli Lilly, Johnson & Johnson等の小売・製薬企業等である。見ての通り外資の日本法人が大半で、日本企業で存在感を発揮していたのはドリームインキュベータや楽天くらいなものだろうか。

ボストンキャリアフォーラム参加企業という極めて限られたサンプルを切り取っても分かるのが、日本ではアメリカと比べてMBA取得者の地位が極めて低いということである。アメリカの場合、MBA取得には学費だけで1,500万円以上、生活費を加えると2,000万円以上の費用が掛かる。そして、在学中に仕事をしていれば稼げたであろう金額も加えると3,000万円も越す計算になる。それだけの金額を投資しても余りあると思うからこそ、皆競って入学するのである。

だが、MBAを取得したとしても一般の新卒や中途社員と全く同じ土俵から地位も給与もスタートするというのでは割に合うはずもない。故に、日本人MBA取得者は上記のドリームインキュベータや楽天を除く日本企業には行きたくても行くことができず、外資に流れることになる。

外国に留学してみると、自分が日本人であることを否が応にも感じさせられることに加えて、自国を相対化して見ることが出来るようになる為、それまで気付かなかった日本の良さを感じ、その母国に貢献したいと志す人も多い。そんな中、その受け皿が殆ど無いのは極めて残念なことである。卒業して日本の一流企業に入社しても、MBA取得に掛かった費用を回収できるまでに物凄い年月が掛かるだろうし、MBA留学の何年も前に実社会で一度経験したはずの「見習い」的なポジションからまたスタートしなければならないと思うと、さすがに萎える。

もちろん、外資と日本企業との壁はこのグローバリゼーションの世界では極めて小さくなっている。外資の日本法人も日本経済・社会に十分大きなインパクトを与えているし、ましてボストンキャリアフォーラムに出展しているような外資企業であれば日本企業以上に好影響を与えているところも多い。従って、そんな企業で働くことを通じて日本社会に貢献するということも十分考えられるだろう。

ただ、「日本の若者が内向き志向になっている」と叫ばれている中、今回、スペインやシンガポールから遥々やってきた同期や、インターン勤務地について募集条件には「東京」とあるにも関わらず「国外」を希望して企業と交渉し始めた同期等を見て、本当に内向きなのは誰なのか考えさせられざるを得なかったことは付け加えておきたい。

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