2019年1月5日土曜日

平成の終わりにスポーツビジネスを考える: ①強化

出展:朝日新聞

平成が終わろうとしている。
平成のスポーツと言えば、野茂英雄・イチロー・中田英寿・福原愛・羽生結弦・錦織圭等、国内から飛び出して世界に挑んだスター達が印象深い。グローバリゼーションの波がスポーツ界にも押し寄せたのだと言える。
その一方で、平成の終わりには、各種スポーツ組織の、グローバリゼーションとは対極にある旧態依然とした組織文化から発生した各種醜態が次々と明るみに出て、日本スポーツの先行きに不安を残した。
そんな一時代の終わりに、かなり大雑把な視点ながら本邦のスポーツ(ビジネス)界に関して勝手に考察した。以下4トピックについて。

トピック
① 強化
② マネジメント
③ 商業化
④ 中長期展望


これらについて軽く触れてみたいと思う。


① 強化
強化について見てみると、日本は世界的に見てもかなりの成功事例だと思う。
五輪での獲得メダル数は、昭和最後の大会のソウル(夏・ 14個)&カルガリー(冬・1個)から、平成の間にリオ(夏・51個)&平昌(冬・13個)へと爆上げ。
しかも、「お家芸」みたいな特定の競技でのメダル獲得に依存しているわけではないところが凄い。日本選手団は、リオ五輪では51のメダルを20競技41種目で、平昌五輪では13のメダルを7競技11種目で獲得している。多様な競技・種目でのメダル獲得に、日本スポーツ全体の強化がかなりうまくいっていることが良く表れている。
また、サッカーでは日本代表がW杯の常連になっていることも然りで、ロシアW杯優勝候補ベルギーをギリギリまで追い詰めたことで明らかなように、明らかに現在も強化が進みつつある。

これだけ強化がうまくいっている国は世界的に見ても珍しいと思う。とすると、これは海外へ輸出するに十分な財産と言えるのかも知れない。

実際に「強化」の海外輸出はサッカーでは行われている。大宮アルディージャはタイ・ラオス・インドネシアを中心にサッカースクールを実施しているし、ベトナムでは代表監督を三浦俊也氏が務めレベルアップに貢献したし、同様にカンボジアでは代表監督を現在本田圭佑選手が務めている。

残念なのは、他の競技で同様の動きがあまり見られないことだ。例えば、スキージャンプは日本では1998年長野五輪での大活躍が鮮烈すぎたのかあまり注目されていないが、その後も葛西紀明選手・伊東大貴選手・高梨沙羅選手・伊藤有希選手・そして新鋭小林陵侑選手等、世界トップレベルの選手達をコンスタントに輩出し続け、世界で注目されている。凄いのは(一時期を除いて)外国人コーチに頼らずに自前で強化してきたことだ。だが、日本からコーチが他国にスカウトされる等といったことは起きていない。言葉や文化の問題もあるとは思うが、多分日本スキージャンプ界で、そもそもそのような事態が想定されていない。

だが、これは日本で外国人コーチ達が活躍している様子を見れば、逆もあり得ることは容易に想像がつく。実際に上記のサッカーの他にも、シンクロナイズドスイミングの井村雅代コーチも中国代表を率いて大活躍した。やればできるということなのだと思う。

選手だけでなく、強化を担うコーチ達もジャパン・メソッドを持って世界へ羽ばたいていく、それが平成の次の世で起こることなのかも知れない。

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