2018年8月7日火曜日
MBA取得後の進路
かれこれ、コーネル卒業後2年が経ってしまったがその後何をしているのかを記そうかと思う。
現在、日本のとあるコンサルティングファームのスポーツビジネスグループにてスポーツビジネスコンサルティングの業務に従事している。同社・同グループはJリーグオフィシャルサポーティングカンパニーとして、Jリーグの戦略・運営の各種サポートを専属で行っている他、「日本のスポーツビジネス市場の拡大」をミッションに、競技団体・スポーツクラブ・スポンサー・官公庁自治体等にコンサルティングを実施している数少ない組織である。
ただ、卒業後直接同社で働き始めたわけではなく、元々は英系の戦略コンサルティング企業に入社し、1年半程勤務した。そこに入社した理由は、戦略コンサルティングの仕事の汎用性が高いことと「スポーツビジネスのコンサルティングをやりたい」と代表との面接で話したところ意気投合したからであったが、入社してからの1年半の間に経営方針の転換があり、スポーツビジネス関連の業務を行う芽が無くなったことが明確になった為、退職・転職するに至った。
戦略コンサルティング企業は、結論から言うとコーネルで学んだソフト・ハードスキルを実戦の場で活かす場としては最適だった。だが、正直に言うと入る前は不安で一杯だった。いくらMBAを取ったとは言っても所詮学校だ。失敗しても単に自分の成績が悪くなるだけで終わる。しかし、実社会ではそうはいかない。また、その企業は社員同士もクライアントとのコミュニケーションも英語であり、もちろんスライドを始め各種資料も英語で作成しなければならない。本当にそんな場で通用するのか…、と言うかそもそも語学云々以前にドメドメの不動産会社から来た私が、本当に戦略コンサルティングの場で役に立つのか、そんなことで頭が一杯だった。
実際、働き始めてみると、仕事のスピード感が日本の不動産会社のそれとは東急世田谷線と北海道東北新幹線「はやぶさ」とのギャップくらい異なる上、読み書きをやはり英語で行わなければならない為、はじめは大いに苦労した。だが、しばらくするとなんだか慣れてきてしまい、英語でのコミュニケーションも苦に感じなくなったことに加え、コンサルティング業務を進める上で大切なポイントも掴むことができ、十分戦っていけるという自信が付いた。1年も経つと、おかしいと思ったことをハッキリとおかしいと言って、時にマネージャーとバトったりするくらいの図太さを発揮するようにもなった。
さて、その企業では、カバーしている分野はライフサイエンスが主で、全く私がやりたいと思っていたこととは異なっており、正直に言ってワクワクする分野ではなかった。それなら最初から入るなよ、という話だがこれには事情があり、オファーをもらった頃には「ライフサイエンス以外の分野に知見を持つ新しいパートナーが入社予定で、そのパートナーの下、リテール・テック・トラベル・不動産・スポーツ…etcに分野を拡大していく」とのことだったのだが、入社して数ヶ月後にそのパートナーが何と同業他社に電撃移籍してしまい、結局元通りライフサイエンス一本になってしまったのだ。そして、結局それが理由で転職活動を始め、現職場からオファーをもらい入社するに至った。
さて、現職場へ転職する際に、私としては、自身のジャンプ競技経験やジャンプ国際大会運営経験に裏打ちされたスポーツ界の現状への問題意識、そしてコーネルへの留学経験が活きたのかと思っていた。ところが世の中何があるかわからないもので、実際にはそれに加えて、
①不動産関連経験(→最近はスポーツビジネスが地方創生やスタジアムを核としたまちづくりと絡んでくる為)
②ドメドメ不動産企業での苛烈な企業文化の経験や海外事務所立ち上げ経験→(スポーツビジネスグループが3年前に立ち上がったばかりなので柔軟な対応が必要な為)
③戦略コンサルでのライフサイエンス関連の経験→(現職場では「スポーツビジネスグループ」が「ライフサイエンスビジネスユニット」の中の一組織となっており、スポーツビジネスがヒマな時はライフサイエンス関連業務との掛け持ちもあり得る為)
等、自分では全くスポーツビジネスと一切関係無いと思っていた経験も評価されて、オファーしてもらえることになったとのことだった。①②もさることながら、③のような自分では明らかに関係ないと思っていた経験がこんなところで役立つことになるとは、あたかもランダムに振ってきた点が気付いたら線として繋がっているようなことで非常に驚いた。「何事も経験」ということなのだろうか。
そんな訳で、現在はスポーツビジネスの仕事に取り組んでいる。私にとっては願ったり叶ったりで、毎日本当に楽しく充実している。もっとも、留学の原点にあったジャンプ界に貢献するというゴールにはまだまだで、と言うかスタートラインに立っただけでしか無いので、しっかりと努力してゴールに近づいて行きたいと感じる次第である。
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